学芸員という生き物について

博物館で生業を立ててる人のはなし。

30年後、どうなってるんだろうな

ミュージアムの教科書 深化する博物館と美術館

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もう何度目だ、てくらい同じような話題が出てくるんだけど…そのつど曖昧なまま議論したかのような感じの報告が行われて、そのまま結局どうなったか分からないまま終わっていく話題だ…。

「その後どうなったの?」の追跡もされなければ、そういう興味すら湧かないのだろう。

まあね、自分の暮らしに直接関係してくる内容じゃ無いからね。

学芸員の待遇っていう話も良くならないし、何なら博士の学位が必要になりつつあるし、で、かなーりニッチな仕事になってんだけど、給料はそもそもそんなに高くないし。あとは東京とか関西の有名な大学に行っておかないとそういうコネクションもできないしね。地方の小さい小さい博物館に勤める手もあるけど、それはそれでお給料がアレだもん。

東京とか関西とかその方面から来た人にとっては、そういうところでは働きたくないだろうし、働いても大学教員への「腰掛け」扱いだもんな。たまにそういう人見かける。まあそうだよね、東京とか関西とか大都市圏で働いた方がお給料良いし。

何だろなーこの特集自体が「ガス抜き」みたいな役割を担わされてんのかなーとちょっと思った。微々たる人数だけど学芸員や非正規待遇の職員は多いわけで、その人たちの不満をある程度「分かってますよ」としておかないと不満が募っていく一方だもんな。うん。定期的にこの手の毒にも薬にもならない特集を組んで、ちょっとずつ不満を減らしていく的な。

本気でどうにかしたいのであれば、博物館法改正の時点でこちらの待遇改善についても何かアクションが起きているはず。ただ、待遇に対するアクションは曖昧なままで先送りされてしまったので、おそらくこのままずーっと進むんだろうなと勝手に思っている。別に人手不足で閉館しても、無駄な税金が減らせる!と喜ぶ人の方が多いんじゃないか。

だとしたらこの業界は今後どうなるんだろうな。大きな博物館・美術館さえあればあとは小さいところはどうなってもいい、地域の歴史よりも教科書の歴史だという流れになるんだろうか。有名どころさえ抑えていれば分かったことになる、て感じだもんなすでに。だとすれば、「地域博物館」ていう言葉は死語になっていくのだろうか。

30年後、博物館・美術館はどうなっているだろう。想像したくてもできない。