学芸員という生き物について

博物館で生業を立ててる人のはなし。

データベースはめんどくさい(作って動かすまでが

おうちで学べるデータベースのきほん 第2版

はい。半分近く愚痴です。

最近は「公開されてないと話にならない」的空気になりがちな収蔵品データベース。博物館法の改正もあって、今後ますます公開が増えていくんだろうと思うんですけど、それならそれで「作る苦労」「運用していく苦労」についてももう少し注目して欲しいなあ、なんて思ってます。

というか、便利なものを提供するにはそれなりの労力が必要、てのはどこの業界においても忘れられがちなんだけど、このネット関係は特にそうなりがちな気がします。

博物館とか美術館の資料の場合、分類項目が複雑でどれをどこに分類するかでまず考えなきゃだし、民俗資料であれば名称どうするかとか、その辺の問題もあるのでデータ登録する前に数回から数十回ほど議論しなくちゃならない。んで、それが数点から数十点だったら良いけど、だいたいどこも収蔵資料って5000から1万点スタートじゃないですか。多いとこだともっとあるけど。とにかくキリがない。紙ベースの台帳があればまだ良いけどそういうのが無いケースもたまにあるし、1年間でできるかどうかすら危うい(でもやるしかない)。そんな訳ですよ…なので「やらなきゃいけないけどやるなら専従させて欲しい」案件だったり。まあそれができないのが世の常なんですけど。

で、そういうのがある中で、「データベースを作って公開し」みたいな、さも簡単にできるでしょうな空気を纏った文言があるものを見てしまうとぐぬぬ、てなる訳です。

旧字体の登録資料を新字体でも検索してヒットできるようにするために両方入れていかなきゃいけないとか、そういう細かい作業があるんだよな…作るまで、作ってからの細かい調整、メンテナンスなどなど必要なことが多いんだけど。公開してあるデータベースにはさまざまな裏話があるんだよ…。

なんでこういうの書いたかって?それは…それは「お察しください」だな。

とにかく、ほぼ毎日パソコンと睨めっこなので目が痛いです。たまには体動かす作業したいな。