学芸員という生き物について

博物館で生業を立ててる人のはなし。

小さく作らないで

キャプションを小さく小さく作って持ってきた企画会社の人。

頼むから大きく作って。デザイン的な部分もあるだろうけど、お願いだから文字大きくして。小さい方がかっこいいのわかるけど、うちに来られる人の大半が高齢の方だから。

そもそも読めないような文字の大きさのキャプション作らないで。

美術館によっては「ユニバーサルデザイン」とかいいつつ、こういうキャプション類は文字小さめにして「読めない!」的なものを出してるところとかもあるから「ユニバーサル()」ってなっちゃう。

作家の意向とかもあるんだろうけどさー苦情いわれるのこちらだからね。だいたい受付とか監視スタッフに「文字が読めん!」てすごく言うんだよね、言う人は。

で、対応した人たちからこちらに上がってくるの、文句が。入館者の文句だけでなく、その文句を言われたことに関して「あんたがちゃんとキャプション大きく作らないからこうなるんだよ」っていう現場からのお叱りも届くの。

わたしなんかそういうの言われたらしなしなになっちゃうからあわてて作り直すけど、人によっちゃ「だから何?」的スタンスで切り捨てる人もいるみたい。そういう人、裏での評判は最悪だったりする。

結局最後はこの仕事も人と人との関係だからねー。学芸員目指す人その辺考えてた方がいいですよ。ほんと。人から何言われようと気にしないっていうスタンス取るのもよし、仲良くやっていこうとするのもよし。

ああなんだっけ、とにかく、作り直す羽目になるから小さすぎるキャプションは作らないでちょうだい、ていう話。デザイン性に優れてても、可読性も優れてないと意味ないからね。

博物館展示論 (KS理工学専門書)

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美術館・博物館の展示―理論から実践まで

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キャプション周りのことはこのあたりに詳しいかも。